R3予備試験 刑訴 再現答案

設問1

1 ①の逮捕は準現行犯逮捕(212)として適法か。

2 準現行犯逮捕の要件は、①同条各号のいずれかに該当すること②「罪を行い終ってから間がないと明らかに認められるとき」であることである。

3 まず、甲は、Pらから「I署の者ですが、話を聞きたいのですが、ちょっといいですか。」と声をかけられた途端に逃走しており、「誰何されて逃走しようとする時」(4号)にあたる。

  また、甲は被害品と特徴が一致するカバンを所持していたところ、「明らかに犯罪のように供したと思われる…その他の物を所持しているとき」(2号)に該当する。確かに、被害品のカバンは「凶器」や「贓物」とは性質が異なるようにも思えるが、本件被疑事実が発生してからわずか2時間、直線5キロの距離に被害品と特徴を合致するカバンを犯行と何ら関係のない第三者が所持しているとは考えにくいから、当該バックも2号に該当する物に準ずるものと判断しうる。

4 準現行犯逮捕が無令状逮捕であっても許容される趣旨は、誤認逮捕の恐れが低く、裁判官による事前の審査を経る必要性が低い点にある。従って、要件②が認められるためには、(1)時間的場所的接着性(2)犯人及び犯行の明白性が必要となる。

  ①逮捕は被疑事実が発生してから2時間、直線5キロの距離で行われているから時間的場所的接着性は一定程度認められる。

  また、甲は本件被疑事実の被害品を所持しているところ、被害者Vの傷害や供述、Pらは防犯カメラの映像から本件被害品の特徴等を確認していることから、甲が犯人であることは明白であると言える。さらに、上記のような事情からすれば被害品であるバックを所持している男2人組が犯行に及んでいたことも明らかであるところ、ここから甲が犯行に及んだことも明らかと言える。

5 以上より①の逮捕は適法である。

設問2

1 ②の措置は接見指定(39③)として適法か。接見指定は①「公訴の提起前」②「捜査のため必要がある時」の2つが要件となる。

2 まず、甲は公訴提起されていないことは明らかである。

3 接見交通権は弁護人選任権(憲法34)を実質化する重要な権利であるからこれを制限できるのは例外的な場合に限られる。

  そこで「捜査のため必要がある時」とは、現に取調べや実況見分の最中であるとか、もしくは間近にその予定があるなどして、接見を認めると、犯罪捜査に著しい障害をきたす場合をいう。

  これを本件についてみると、甲は午後5時ごろから実況見分に立ち会う予定が存在している。この実況見分は犯行に用いられたナイフの発見を目的としたものであるところ、甲とSの接見が終了してからでは、周囲が暗くなってしまい、実況見分を行うことが困難となってしまう。加えて、この実況見分を実施する場所は具体的に定まっているものではなく、甲の案内によることが必要不可欠なのであり、甲が同伴しなければならない必要性が高い。さらに、本件被疑事実に関与したもう一人の男の行方は未だ判明しておらず、逃走しているところ、仮に実況見分を延期し、次の日以降に行うこととすれば、その間にその男により本件ナイフが隠滅される恐れも十分に認められ、重要な証拠を失う恐れもある。

  以上を踏まえると、本件では甲に実況見分の予定が間近にあると認められ、犯罪捜査に著しい支障をきたすと言えるから、「捜査のため必要がある時」の要件を満たす。

4 接見指定の要件を満たすとしても「不当な権利の侵害」となってはならない(同但書)。そこで、②の措置が不当な権利侵害とならないか検討する。

  本件接見は初回接見であるところ、初回接見は弁護人選任権の出発点をなし、両者が相互に情報を伝達して防御の方針を決定するなど被疑者の防御にとって重要な機会である。

  そうすると、初回接見にあたっては、接見を認めることができないか検討し、弁護人となろうとするものと協議し、比較的短時間であってもこれを認めることができるならばこれを認めなければ「不当な権利の侵害」にあたる。

  これを本件についてみると、RはSから連絡を受け、接見を認めることができるか検討したものの、上述したとおり、実況見分を遅らせれば当日中に実況見分を行うことができなくなってしまうため、その旨をSに伝え、Sと協議をしたものの両者の意見が折り合わず、結局②の措置に至っている。そうすると、検討・協議をへたといエルから、「不当な権利の侵害」とはいえない

5 以上から②の措置も適法である。

 

予想:B  評価:A

※再現不十分。両方もう少し当てはめで色々書いた気がする

問題を見た瞬間に当てはめゲーと理解したものの、思ったよりうまくいかず(特に準現)、終了当初は肩を落とした。

また、「贓物」の定義を知らず(恥ずかしい)、2号否定しそうになったが、複数該当しないと明らか違法っぽいなあと思い、なんかごちゃごちゃ書いてしまった。

準現では必要性の検討もれ(チェックしてたのに...)、接見では二段目の規範が微妙という細かいミスはあったが、当てはめでゴリ押したのだと思う。

思ったより他の受験生がよくなく、発表前にはAくるかもなとも思っていた。